安楽寺がある太田(おおだ)集落に入りますと、各家々には必ずと言ってもいいくらい大きな土蔵があります。
現在、安楽寺の総代をしていだいているK家には、三つもの土蔵が大きな敷地内にあります。以前、今は亡き、長生きされた奥様に「なぜ三つもの土蔵がK家の敷地内にあるのですか。」と私が聞いたことがあります。
「昔は結婚式やお葬式など色々な行事は自宅でしたものです。百姓家の建物は、ふすまを取ると大きな部屋になり、それらの時に一つの土蔵から多くの塗の膳を出し、多く塗の食器を出し、他の土蔵から行事にあわせての衣装を出し、掛け軸など場を彩る物や布団、座布団などを出し、他の土蔵から、お米や日持ちする漬物など色々な食べ物を出したものです。」とのこと。
つまり、食器などを保管する土蔵。衣装、掛け軸、泊まり客用布団などを保管する土蔵。とっさの時に食べられる食料品を保管する土蔵。と三つの土蔵の役割がきちんとあるということなのです。
しかし、今は電話で何ごともできるので、また、近くにはスーパーマーケット三つ、コンビニが三つ。葬儀場が二つあり、土蔵の役割は、贈答品の仮置き場になっている、とのこと。塗の膳などは処分したと言われておりました。
拙寺も裏境内に、八畳たたみくらい二階建て土蔵が今でもあります。K家のミニ版というぐらいの物が入っています。この20年は入った事はありませんが...。
また、阪神淡路大震災(1995年)や大阪北部地震(2018年)で、土蔵の棟が折れてしまい、瓦の上には、テント用の臨時屋根をかぶせています。もうすぐ土蔵は取りつぶし、愚息の離れ家を建てるつもりです。でも先立つものが無い、というのが現状ですが...。とほほ。まあ、宝くじでもせっせこと買いに走りましょうか。
合掌



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